行政機関への公益通報はなぜ有効なのか

公益通報とは、事業者に労務を提供している人が、その事業者が行う法令違反行為を内部または外部の窓口に通報し、是正措置を求める行為のことをいいます。事業者が優越的な立場を利用して通報者に不利益な取扱いをしないよう、法整備が進められています。
ここでは、行政機関に対して行う公益通報がなぜ有効なのかを解説します。
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多くの事業者は行政機関の許可を得て事業を営んでいる
事業者の多くは、その業種により行政機関の許可や認可を得て事業活動を行っています。
たとえばレストランは「食品衛生法」に基づく営業許可を、ドラッグストアは通称「薬機法」と呼ばれる法律に基づく開設許可を得て事業を行っています。
そして、これらの許可を出す行政機関は、当然のことながら違反のあった事業者に対し、営業許可を取消す処分を行ったり、是正を求める指導勧告を行ったりすることができます。
また、たとえ許認可を得ずに行うことができる事業であっても、たとえば「独占禁止法」に違反するような不公正な取引を行ったり、「景品表示法」に違反するような誇大広告を行った場合には、その法令を所轄する行政機関から厳重な処罰が下されることがあります。
このように、事業者はその事業活動において法令を遵守する社会的責任があるとともに、行政機関は事業活動に大きな影響を与える権限を有しているのです。
こうした権限のある行政機関に事業者の法令違反行為を通報し、処分または指導などの措置を求めることも「公益通報」として事業者から保護される行為とされています。
行政機関は「通報」によって法令違反の実態を知る
前述のとおり、行政機関は事業者に対して大きな権限を有していますが、多くの行政機関は自ら積極的に犯則捜査を行っているわけではありません。
それは彼らが怠惰だからではなく、公的機関である以上、公平性の観点や、憲法で保障された「営業活動の自由」の観点から、根拠もなく見せしめや狙い撃ちのような調査を行うことができないからです。
もちろん、業種によっては定期的な事業報告が課せられていたり、営業許可の更新手続が必要だったりして、その際に違反行為が行われていることを知る場合もあります。しかし多くの場合は事情を知る人からの「通報」があった場合に、それを大義名分として調査を行うことになるのです。
逆に言えば、通報がなければ行政機関は「怪しいな」と思ってもなかなか動くことができませんし、常態的に法令違反行為を行っている悪徳の事業者が世にのさばる状態が続いてしまいます。
公平公正な社会を作り上げるためには、事情を知る人による行政機関への「通報」が大切なのです。
行政機関への通報によって事業者に実際に及ぼす効果
実際に行政機関に公益通報をしたことによって、事業者がどのくらいの不利益を被るかについては、行政機関の下す処分の軽重や事業者の業態・規模によって違ってきます。
営業停止処分のような重い処罰を受けた場合、一定期間営業ができなくなるだけでなく、既存取引先との契約が解除され、損害賠償の支払い義務を負うことになるかもしれません。また、行政処分を受けた事業者は社名を公表されることが多く、社会的な信用を失い業務の拡大・継続が難しくなる可能性もあります。
なお、営業停止処分に至らない場合であっても、行政処分を受けた事業者は、他の行政庁への入札参加資格も軒並み停止されることになります。
ちなみに法人が罰金刑を受けた場合、その代表者にも同額が併科される場合があります。
処分に至らない「勧告」を受けた場合、社名を公表されることはありますが、きちんと謝罪し再発防止策を設定すれば、そこまで大きな不利益を被ることはないのではないかと思います。ただし勧告に従わない場合は、制裁的にさらなる重い処分が待ち受けているのは想像に難くありません。
基本的に、社名を公表されることによる不利益はBtoB企業のほうが大きいのではないかと思いますが、法令違反行為による社会的な影響が大きい場合は、テレビ等で報道され、深刻な不利益を被る可能性も秘めています。特にステークホルダーが多数ある企業にとっては、信用失墜は甚大なダメージになりかねません。
まとめ
行政機関への通報がなぜ有効なのかをまとめると、以下のように言うことができます。
- 行政機関は事業者に対して生殺与奪の権といってもいいほどの強い処分権限を有している
- 行政機関も「通報」がなければ動けないので、内部の事情を知る通報者の存在は重要
- 処分以前に指導や勧告といった前段階があるので、事業者に致命的なダメージを与えることなく法令違反行為の是正が見込める
- 報道機関等に直接情報提供するよりも取り上げてもらえる可能性が大きく、リスクも小さい
いかがでしたでしょうか。当事務所ではお勤め先で法令違反行為が行われている場合等の行政機関への公益通報の代行を承っております。お気軽にお問合せください(全国対応)
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新大阪TKG行政書士事務所代表。
大阪府行政書士会所属。
新たに開業される方や副業を始められる方の会計記帳事務の代行、
法人化手続の支援、公益通報代行を中心に業務を行う。